“奉公構い”という言葉がある。もともとは豊臣秀吉が作った制度で、その後、江戸時代にまで引き継がれた。ひと言でいうと、大名が家臣を囲い込むためのシステムだ。たとえば、ある大名が、自分の許可なく勝手に家臣を辞めた人間を“奉公構い”扱いと宣言したとする。すると、どんなに有能であっても、他家はけっして彼を採用できない仕組みだ。要するに、人を組織に縛りつける手段と考えていい。「七度主君を変えねば真の士にあらず」と言われたように、それまでは武士と領主の関係はどちらかというと対等の契約関係に近く、主君がその義務を果たしていないと思えば、家臣は勝手に他家へ転職するのがふつうだった。
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だが、この頃から契約という概念に代わり、「一型の概念が芽生えていくことになる。一君にまみえず」というような、自己犠牲「さすが封建時代、やることがえげつない」と笑う資格は、現代日本人にはない。というのも、わりと最近まで、似たような風習は一部の業界に存在したからだ(個別の企業間ではいまでも存在する)。たとえば、ある同業の大手企業同士が会合し、「自分たちの間では、現役社員については、お互いに中途採用しないようにしましょう」と取り決める。当然、系列の企業もいっせいに右へならえだ。