厳しいコスト削減のための非正規雇用

2012.01.07

正規雇用が保護されていると、なぜ非正規雇用が増えることになるのか。また、終身雇用制は戦後を通して維持されてきた制度であるのに、九〇年代後半になって、それがどうして非正規雇用の増加につながる要因になったのか。その背景には、九〇年代に入って、バブルの崩壊によって経済の成長率が低下したこともあるが、日本経済の競争条件が厳しくなってきたことがある。売り上げが減少するなかで、企業が利益をあげていくためには、厳しいコスト削減が要請されるからである。

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日本経済の競争条件が日ごとに厳しさを増していく状況のなかで、人件費が経営面のきわめて重要なファクターになるのは当然である。経営者にとって、人を雇うことは、支出面で容易に削減できない固定費が増えることになるからである。若年層を求人の対象とする企業にとって、もし同じ程度の能力なら、何も好きこのんで正規の社員を雇う必要はない。売り上げや需要に合わせて対応できる、有期の契約でパートタイム労働者や派遣社員を雇い入れるほうが、正規の社員を雇うよりもはるかに有利なのである。日経連の「新時代の日本的経営」がもてはやされたのも、企業がコスト削減に腐心していた時期と符合したからだと言ってもいいだろう。企業の裁量の余地が大きく、廉価でしかも同じ仕事をしてくれる雇用は、企業にとって願ってもない存在であった。サービス産業のみならず、製造業においても、非正規雇用を活用し始めた例が報告されている。現実はわれわれの想像以上のスピードで進んでいる。